私の王子様を見つけました
拓斗の前に下着姿のままひざまついた。


頑張れ、真凛。


最後の勇気を振り絞るのだ。


「拓斗が好きです。昔も今も。」


「分かってる。そんなことは。」


分かってる。


え、わかってたんですか。


ちよっと、待って。


「おい、早く服を着ろ。置いてくぞ。」


勇気を出して、二度目の告白をしたと言うのに。


その扱い方はなんなんですか。


「拓斗、真剣なんですけど。」


「分かってるから、服を着ろ。」


こうなったら拗ねてやるんだら。


下着姿のままあぐらをかいた。


何でそんなに冷静でいられるの。


「だから、ちよっとは私を見てよ。」


拓斗が近づいて来た。


近いよ、近すぎます。


「それ以上来ないで。」


これでも着てろと、拓斗のコートをすっぽりかぶせられた。


下着の上にコートですか。


無理、無理、あり得ない。


「待って着替えるから。」


ハァー。


もういいや。


拓斗は私の告白なんて、どうてもいいのだ。


10年前と何も変わらない。


近づけたと思ったのは、やっぱり私の勘違いだったんだね。


帰りましょう。


東京へ戻って、又仕事を頑張りますか。









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