私の王子様を見つけました
仕方なく着替えた。


10年だよ。


10年頑張ったのに。


私の青春を返してほしいよ。


このままの曖昧な関係でずっといるだなんて、待ってよ。


置いていかないでください。


方向音痴の私は広い空港で迷子になったら、飛行機にも乗れないです。


拓斗の後をトボトボと歩くと、いきなり拓斗がとまるから、背中にぶっかった。


「勝手に失恋を決めてるみたいたけど、10年前も真凛を振ったつもりはないけどな。」


え、今なんとおっしゃいました。


10年前も振った覚えがないと言いましたよね。


ちよっと、待ってください。


10年、嫌、今も振られたと思うし。


拓斗が振り返る。


「10年前、真凛は15才だったから、大人になったらもう一度告白をしろと言ったよな。」


嘘だ。


そんな事は言ってない。


言ってないと思う。


ひどい振られ方をしたはずだ。


嫌、待て、10年前の事が思い出せない。


拓斗が私の手を引いて歩き出す。


「のろのろしてたら、乗り遅れるぞ。」


乗り遅れるのは困るけど、ちよっと、待ってください。


10年立ったらもう一度告白をしろと言った。


さっき、告白をしたんだけど。


その返事をもらってない。


「拓斗返事は。」


「今更何を期待してるんだ。」


「だから、告白の返事をしてほしいです。」


「好きに決まっ…………」


人混みにまぎれて、聞こえなかった。


だから、もう一度お願いします。


「うるさい。行くぞ。」


そんなぁ。


いくらなんでも雑すぎる。


「真凛が俺から離れない限り、ずっと一緒にいてやってもいいぞ。」


嘘、本当に。


「のろま。」


拓斗は本当に口が悪い。


甘いことばなんて、絶対言ってはくれない。


だけど、そんな拓斗が好きです。


ずっと、ずっと離れないんだから。


「待ってよ。拓斗置いていかないで。」


私が大好きな人は、私の隣を歩く氷室拓斗30才。


あれから10年、私の王子様を見つけました。





完。
























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