宮川修内太の異常な日常~魔女の瞳番外編~
魔力。

魔女や魔術師が内在させている、魔術行使の為の力。

人間なら誰しもが持っているらしいが、幼少からの鍛錬がなければ使いこなすのは難しい。

またメグのような膨大な魔力量は、先祖代々から少しずつ容量を増やしていったものらしい。

より多くの魔力を蓄えられるように、体質を改善していったのだそうだ。

例えば何の鍛錬も積んでいない普通の人間ならば、内在している魔力は数字にして『五』程度。

メグ曰く非常識な人間の俺だと十。

メグはというと、数百年続く家系の鍛錬、加えて六百年生きてきた本人の鍛錬もあって、今では五百もの容量を持つらしい。

彼女の方がよっぽど非常識だ。

だからメグはより多くの魔力を注ぎ込んで魔術を行使できるし、より多くの回数魔術を発動できる。

同じ呪眼を持つ者でも、俺とは基本性能からして違うという訳だ。

「まぁでも」

俺が気落ちしていると思ったのか、メグがフォローを入れる。

「それでも貴方の持っている呪眼は、そんじょそこらの魔術師相手じゃ太刀打ちできないほどのシロモノよ。何せ魔力を通すだけで、呪文詠唱もなしに魔術が使えるんだから」

…そもそも、魔術の行使には『呪文詠唱』がついて回る。

チチンプイプイとかアブラカダブラとかいうあれだ。

呪文詠唱は基本長ったらしいもので、高度な魔術ほど詠唱は長くなる。

一人前の魔術師でも一分はかかるものなのだそうだ。

基本、魔術を使う者同士の戦いは、どちらが先に魔術を発動できるかで勝負が決まる。

西部劇の早撃ち勝負みたいなものだ。

そう考えると、呪文詠唱無しで魔術を行使できる呪眼は、拳銃を抜かずに撃てるようなものなのだ。

殆ど反則である。


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