宮川修内太の異常な日常~魔女の瞳番外編~
そうこうしているうちに午後七時。

そろそろ、おいとましなければならない。

「じゃあまた明日…放課後は時間空けときなさいよ」

玄関先までメグが送ってくれる。

「ああ」

俺は頷いて歩き出した後、急に立ち止まって。

「色々ありがとな、メグ」

せめてもの気持ちに礼を言っておいた。

「改めて言われるほどの事じゃないわよ」

何だかメグの頬がほんのり赤い気がする。

「私が教える以上は、修内太を一端の呪眼使いに育て上げてみせるんだから。死に物狂いでついて来なさいよ」

…それは当初と趣旨が違うような気がするのだが。

どちらにせよ、俺の為にと思ってくれているのは間違いない。

そんなメグの心遣いに感謝しつつ、俺は坂道を下っていった。

最近は日が暮れるのが早い。

この時間になるとすっかり暗くなっている。

空に顔を覗かせ始めた星を見ながら、俺は白い息を吐き出す。

…明日もメグと魔術の勉強か。

最初は彼女が化け物と戦っていた時は目を疑ったものだし、魔女だと名乗った時は耳を疑ったものだ。

魔女。

魔術と知識を駆使して、人間に災いをもたらす悪の手先。

そんなイメージが先行しがちだが、案外本物の魔女というのは善良な者なのかもしれない。

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