宮川修内太の異常な日常~魔女の瞳番外編~
ホムンクルスの騒動の後、メグが一方的に条件を突きつけてきた。

「四門じゃなくてメグって呼んで。相棒には、フレンドリーな呼び方しなくちゃ。そうでしょ?」

どうも俺はホムンクルス退治に貢献した功績を称えられ、魔女の相棒として認められたらしいのだ。

だが、女の子を下の名前で呼ぶというのは抵抗がある。

そういうのは、交際を始めて仲良くなってからではないだろうか。

それを言うと。

「あら、15世紀にもそんな古風な男はいなかったわよ?」

彼女はあっけらかんとした表情で笑った。

…四門メグは魔女狩りの時代のヨーロッパ出身。

女性に年齢を訊くのは失礼なので正確な年齢は知らないが、少なく見積もっても六百歳は超えている筈なのだ。

なのに彼女が俺と同級生でいられるのは、彼女がその肉体に『再生』の魔術というものを施しているかららしい。

本来なら死んでいく細胞まで再生させてしまうほどの、強力な魔術。

その為彼女は老化すら止まり、常人なら致命傷となるべき傷でも放っておけば治癒してしまうのだ。

ヨーロッパ出身だった彼女が何故この国で何百年も暮らしているのか。

過去に掟を破り、罰としてこの国から出られなくなったのだと聞いている。

俺が『エリス』とかいう女の子の生まれ変わり、というのが関係しているようなのだが、彼女が多くを語ろうとしないのだから、俺も訊けないし、訊く気はなかった。

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