宮川修内太の異常な日常~魔女の瞳番外編~
小瓶は陶器だ。

床に落としただけで、音を立ててたやすく粉々に割れてしまった。

そしてその瞬間。

「!!?」

小さな破裂音と共に、地下室全体を覆うほどの白煙が立ち込めた。

火薬の匂い、何やらよくわからない薬品のような匂い。

それに混じって漂う、生臭いような獣臭…。

何の臭いだ…メグの奴、あの小瓶に一体何を入れていたんだ?

そんな事を考えているうちに煙は晴れていき。

「………っ!!」

俺は思わず息を呑んだ。

…だって、これが冷静でいられるか?

地下室の三分の一を占めるほどの巨体。

暗緑色の鱗。

爛々と赤く輝く眼。

一対の頭角。

その口には俺の親指ほどもある牙が生え揃い、口腔内に赤い火種がチロチロと、蛇の舌のように揺らめいているのが見えた。

実物を見るのは初めてなのに、『それ』が何であるかはすぐにわかった。

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