宮川修内太の異常な日常~魔女の瞳番外編~
「ド…ドラゴン…!!」

そう。

伝説、神話上の魔物の中で、最も強力とされる竜。

それが今、俺の目の前に伏せていたのだ。

…成長した成竜になると、数十メートルになるといわれている。

だとするとこの竜は、その体躯からしてまだ若い竜なのかもしれない。

とはいえ、俺の何倍もある巨体だ。

身動きしなくても、十分に俺を圧倒する。

「また安い呼称をしてくれるものだな」

久し振りの小瓶の外なのだろうか。

ググッと伸びをするような仕草を見せながら、その竜は喋った。

「古より魔物の頂点に立つ者ぞ。竜種(りゅうしゅ)と呼べ」

竜の中には人語を解する者もいると聞いた事がある。

その戦闘力だけでなく、竜種は高度な知性を持つ魔物なのだ。

「さて…」

その体躯にはあまりにも狭い地下室を、竜は長い首でキョロキョロと見回す。

「こいつはいい。あの忌々しい魔女の小娘は不在か」

メグの事か…?

確認する暇もなく、竜はその炎のような赤い眼で俺をギロリと睨んだ。

それだけで、心臓が止まりそうになる。

「で…貴様が俺を小瓶から出したという訳だな、小僧」

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