宮川修内太の異常な日常~魔女の瞳番外編~
射竦められたように、声も出せず、身じろぎさえできずにいると。

「わはははははははっ!!」

空気を振動させるような大声で、竜は笑った。

「ちょうどいい。まずはこの狭苦しい部屋から出て、腹ごしらえでもするか。デッドゲイトの魔女への返礼はそれからだ」

ズシンと。

一歩踏み出す竜。

俺の事など眼中にもないらしい。

目の前にいながら、敵としてすら認識していないのだ。

このままじっとしていれば、命を奪われる事はないかもしれない。

だがこいつ…今なんて言った?

『まずはこの狭苦しい部屋から出て、腹ごしらえでも』

『デッドゲイトの魔女への返礼』

こいつ、ここから出る気か!?

しかもメグを襲うつもりだ…!!

「……!」

竜は俺に見向きもせず、完全に余所見をしている。

チャンスだ。

このでかい図体に通じるとなれば、俺の最大の魔術しかない。

仕留められないのはわかっている。

でも、せめてここで何とか足止めしないと…!!

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