宮川修内太の異常な日常~魔女の瞳番外編~
『異界開門』

それがメグの行使した魔法…デッドゲイト家に伝わる禁呪の名称だった。

デッドゲイトの魔女は、その名が示す通り、その身そのものが異界への扉となっている。

それを開放するのが、魔女の体のどこかにあるという『デッドゲイトの紋章』。

魔女によって紋章の位置は違うが、メグの場合は竜の尾が貫いた胸にある。

そう、メグはわざと胸を『貫かせた』のだ。

紋章を貫く事。

それこそが異界開門発動の条件となる。

後は呪眼の行使も、呪文の詠唱も必要ない。

門は己自身なのだ。

己の内在する魔力を体内に走らせる事で、異界の門は開放される。

そして開放されたら最期。

この世界は異界に塗り潰される。

「修内太、離れないでよ」

メグが言う。

「貴方はこの禁呪の『対象』として認識していないけど、何せここは死の世界よ…何が起こるかは私にもわからないわ…門を閉じるまで、迂闊に動かないで」

そう言ったメグの視線の先には、竜がいた。

「フン…何が異界開門だ」

竜は嘲笑う。

「異世界に引き込んだ程度で俺を仕留めたつもりか!」

俺もろともメグを消し炭にしようと、竜が大きく息を吸う。

炎を吐く気だ。

しかし!!

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