ひとりじめしたい。~イジワルで甘いお隣さん~
はぁ―……むしゃくしゃする。
頭の中が美乃里でいっぱいで、考えないようにとすると、さらに美乃里でいっぱいになる。
なんであんな顔したんだよ……
勝手にキレたのは美乃里の方なのに、なんであんな悲しそうな顔……
考えれば考えるほど、美乃里のあの表情が消えない……
「――…よう」
「――なって。な?」
その時、ふと聞こえた会話。
特に気にもせず、その公園の横を通りすぎようとして、目に入った光景に足が動かなくなった。
誰……だよ
公園のベンチに隣合うように座っている2人。
うつむいている美乃里の表情は見えない。
いや……
あいつに抱きしめられてるから、美乃里の表情が見れないんだ……
――『気づいたら遅かったなんて、そんなの言い訳にしかならねぇよ』
康平のそんな言葉が、頭に浮かんだ……