ひとりじめしたい。~イジワルで甘いお隣さん~
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「送ってくれてありがと」
「あぁ」
「じゃあ……また明日」
「あぁ」
ぶっきらぼうにそう返す工くんに背中を向けて、アパートの階段を上る。
部屋の前までついて、ふと後ろを振り向くと……
ふふっ、やっぱりいる。
なんか本当のお兄ちゃんみたい。
そんな風に思いながら工くんを見ていると、あたしを見ていた工くんが手をシッシッと払いのけるようにして、中に入るように促す。
「ふふっ」
ほんと過保護なお兄ちゃんなんだろうな―……
いつも怖い工くんからは想像もできなくて、頬をゆるませながら部屋に入った。