ひとりじめしたい。~イジワルで甘いお隣さん~


「……怖かったの」


「え……?」


「ずっとずっと小さいころから、あたしが好きなものや欲しいものは姉に取られた」


「うん……」


美乃里がゆっくりと話す言葉に、耳を傾ける。


たった一言でも美乃里の気持ちを見落とさないように……


「ちゅ、中学生の時、初めて人を好きになった」


「ん」


「加央里はそのことに気づいて、いとも簡単に先輩の彼女の座を射止めたの」


どんな気持ちだっただろう?


どれだけつらい日々だっただろう……


俺がもし美乃里をほかのやつに、しかも血の繋がったやつに奪われたら……


「い、家に帰った毎日のようにいるの。先輩と楽しそうに笑う加央里が」


「……」


「頭では仕方ない。加央里の方が素敵な子だってわかってたから諦められた。でも……」


泣くのを我慢してる美乃里。


泣いていいのに。


俺のそばでならいくらでも泣いていい。


俺が抱きしめてやる。



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