ひとりじめしたい。~イジワルで甘いお隣さん~
「おかしいと思うでしょ?たくさん役立たずって言われて怒鳴られても、あたしは結局姉離れできなかったの……」
俺には姉はいるけど、同性の兄や弟はいない。
だから正直美乃里の気持ちはうまく理解できなかった。
でも、美乃里は本当に姉を好きだったのだろう……
あんな姉でも……
「だから親の転勤がわかった時にチャンスだと思った。あたしも何か変われるんじゃないかって……」
「……」
「でも逃げてるばかりじゃ意味なかったんだよね……?」
そう言ってる瞳が、もう前を見据えている。
あぁ、俺はこの子のこんなところにも惹かれていたんだ。
弱い女の子だけど、ちゃんと自分で前を見るそんな強い瞳。
「あたし、その恐怖心から一番大切なこと忘れてた……」
「……なに?」
「大切な……大好きな人の気持ち」
「っ……」
もう、ほんとにこの子は。
「仕方ない仕方ないって思って諦めてきたけど、そんなのあたしが逃げてるだけ。あたしが信じるのは蜜くんの気持ちだけなんだ」
「っ……あぁ―……」
俺を何度好きにさせれば気がすむのだろう―……