ひとりじめしたい。~イジワルで甘いお隣さん~
でも……
「あたしは多くの人に選んでもらわなくていい。大切な人に、あたしが大好きな人に選んでもらえただけで十分」
「っ……」
蜜くんがあたしにかけてくれた言葉。
それだけであたしはこんなに強くなれる。
「美乃里……」
蜜くんがギュッと手を握ってくる。
こんな素敵な人に出会えて、好きになってもらえた。
それだけじゃない。
海みたいな友人思いの友達にも出会えたし、口は悪いけどあたしを支えてくれる工くんにも出会えた。
それだけで十分幸せだ。
「なんでいつもあんただけ……」
「え?」
ぼそっと呟くような加央里の声。
「みんなあたしのこと選ぶのに、最後は美乃里ちゃんの方が優しいとかいい子とか……」
「……」
「先輩だって、あたしと付き合ったのに、美乃里のことが頭にいつもあるようで、あたしのことをちゃんと見てくれたことはなかった……」