ひとりじめしたい。~イジワルで甘いお隣さん~
彼の名前は友永真人[ともながまこと]。
図書委員で、特別かっこいいわけでもなかったけど、優しい雰囲気の持ち主だった。
たまに図書室に行くと、口は悪いがどこか優しい瞳であたしを見つめる。
いつしか、あたしは本気で彼が好きになってた。
彼なら……
本当のあたしを見つけてくれた彼なら、ずっとそばで過ごせるかもしれない……
それに自信があった。
彼はあたしに優しいし、人気があるわけでも、彼女がいるという情報もない。
あの優しい瞳も、あたしにだけ向けている。
だからきっと友永先輩も……
そう信じて疑わなかったのに……
「加央里さ、美乃里の姉貴なんだろ?」
「え?」
友永先輩が好きなのは、あたしじゃなくて美乃里だった。
「美乃里に本当に似てて、たまに焦るよ」
「……み、美乃里とどういう関係ですか?」
「関係って、ただの先輩後輩。……でも、俺は美乃里のこといいなって思っててさ……」
っ……
あぁ、そうか。
友永先輩が優しい瞳で見てたのは、あたしを通した美乃里だったんだ……