ひとりじめしたい。~イジワルで甘いお隣さん~


「加央里、どうした?」


「え?」


「呼んだの加央里なのに、さっきからボーっとしてる」


「別に……」


こっちも相変わらず優しい瞳であたしを見つめる。


「真人、あのね、今日あたし美乃里に会ったの」


「……そっか。元気だったか?」


「うん」


知ってるよ。


まだあなたが美乃里を思ってることくらい。


あの優しい瞳がまだあたしを見てるのは、あたしを通して美乃里を見てるからなんでしょ?



「真人……」


「なんだよ」


「美乃里、幸せそうだったの」


「そっか」


幸せそうに笑ってた……


「真人。別れよう」


「……は?」


「美乃里たちを見てて気づいたの。あたしたちは本当の恋人じゃない」



< 368 / 380 >

この作品をシェア

pagetop