黒愛−2nd love−
男子はきっと、瓶底眼鏡の七三分け。
女子はパッツン前髪の三つ編みで、スカート丈は膝下20cm。
私にとってここは、どうでもいい奴らのたまり場だった。
期待している運命のカレは、生徒会なんかにいるはずがないと思っていた。
生徒会室のドア前を通り過ぎようとした時、
突然ドアが内側に開いた。
「カナタ!待ちなさいよ!」
女子生徒のヒステリックな声がする。
“カナタ”と呼ばれたのは、背の高い男子生徒。
「るせぇ… 後でやるって言ってんだろ」
彼は顔だけ中に向けて返答しながら、逃げるように廊下に出てくる。
大きなスライドで一歩踏み出し、
強くぶつかってきた。
弾き飛ばされた私は、
「キャア」と短い悲鳴を上げた。
壁に背中を打ち付け、そのあと尻餅を付いてしまった。
痛い―― けど、
痛みは瞬時に忘れ去られた。
それを上回る衝撃を食らっていた。
「ゲ……」
そう言って見下ろす彼に、目が奪われる。
呼吸を忘れ、心拍数は急上昇していた。