黒愛−2nd love−
素敵な彼を見上げて動けずにいると、
一人の女子生徒が近寄り、私の横にしゃがみ込んだ。
彼女は長い髪を一つに編み込みにして、眼鏡をかけている。
そのスタイルは私が想像していた、いかにも生徒会にいそうな真面目女子だが、
かなりの美人。
眼鏡を外して髪をほどいたら、男共はメロメロになるに違いない。
「あなた、お怪我はないかしら?」
お嬢様らしい口ぶりで、彼女が言う。
「あ… はい、大丈夫です」
案内人の山田さんが私の腕をとり、立ち上がらせてくれた。
怪我のないことにホッとする彼女と対照的に、
彼は冷たい視線で舌打ちする。
「怪我してないなら、サッサと立てばいいだろ。
ボケッとしてんじゃねぇよ」
そんな言葉まで付けて。
どうやら運命の彼は、性格に難があるみたい。
でもそんなことは、恋する気持ちに関係ない。
冷たい人なら、私だけに優しくなるように変えてあげればいい。
私を好きじゃないなら、好きにさせればいいだけ。