黒愛−2nd love−
もうデートを終わりにさせてくれと言う彼に、
「いいよ」と言った。
バッグの中から、可愛らしくラッピングした小さな箱を取り出した。
それを本田卓也に渡した。
「これを安抜麻理絵に渡したら、
デートはオシマイ。
テスト予想問題集のノート、
残り3冊は、その後に渡すよ」
本田卓也は、ホッとした顔して頷いた。
やっと苦痛から解放される……
そんな浅はかな期待を抱いていた。
喜ぶ彼に、細かな注意事項を少しだけ追加する。
「プレゼントは観覧車の中で渡して。
観覧車がてっぺんに着いた時に、
“僕の気持ち”と言って渡すの。
中身はその場で見てもらってね。
大丈夫。あの子に期待させちゃうような物じゃないから。
これでオシマイっていう
“手切れの品”。
期待させたままだと可哀相だもんね。
これを見たら、本田くんとは付き合えないって、きっと分かってくれるヨ」