黒愛−2nd love−
彼に代わって仕事をこなしているのは、副会長の三ノ宮沙也子。
叶多くんとぶつかった時に、声をかけてきた眼鏡美人だ。
あの時の叶多くんは、逃げようとして彼女に怒られていた。
沙也子の口ぶりからすると、きっとあれは日常的なことなのだろう。
生徒会長という役職から逃げたいみたいだけど、彼が生徒会室に顔を出していることは事実。
ということは、
彼と接点を持つには、私も生徒会に入るしかないのだろうか……
そんなことを考えている内に、理解不能なフランス語の授業が終了した。
これで午前の授業が終わり、昼休みに入る。
部屋もクラスも一緒の久美が、カフェテラスに行こうと誘いにきた。
立ち上がった私の後ろでは、クラスのムカつくお嬢様たちがいつもより賑やかに話していた。
聞こえてきた会話には、“お茶会”という聞き慣れない言葉が飛び交っている。
「今年のお茶会の招待客は誰かしら?
うちのクラスからは、ユリエさんじゃないかしら?」
「そう言うルリコさんこそ、選ばれるんじゃなくて?」
「まあ、そうならどうしましょう?
お茶会用にパーティードレスを新調しておこうかしら?
オホホホホ」