黒愛−2nd love−
 


再び静かになった教室で、沙也子の声が響く。



「このクラスは、お二人に招待状を差し上げます。

一人目は、野村久美さん。

一年時、大変優秀な成績を収められ、三ノ宮学園も久美さんには大きな期待を寄せています」



お嬢様たちの間に、どんよりした空気が広がった。


前に出て招待状を受け取る久美に、じっとり妬ましげな視線が集中していた。



久美は「ありがとうございます」と言いながら、困り顔。


さっきお嬢様たちにからかわれた心配が、現実になってしまった。


きっと何を着て行くべきかと考え、困っているのだろう。



「二人目のご招待は……」


沙也子の言葉に、教室に緊張が走る。


私の中には期待が膨らんでいた。


お茶会は、叶多くんに近づくチャンス。

どうしても招待状が欲しかった。



< 28 / 311 >

この作品をシェア

pagetop