黒愛−2nd love−
再び静かになった教室で、沙也子の声が響く。
「このクラスは、お二人に招待状を差し上げます。
一人目は、野村久美さん。
一年時、大変優秀な成績を収められ、三ノ宮学園も久美さんには大きな期待を寄せています」
お嬢様たちの間に、どんよりした空気が広がった。
前に出て招待状を受け取る久美に、じっとり妬ましげな視線が集中していた。
久美は「ありがとうございます」と言いながら、困り顔。
さっきお嬢様たちにからかわれた心配が、現実になってしまった。
きっと何を着て行くべきかと考え、困っているのだろう。
「二人目のご招待は……」
沙也子の言葉に、教室に緊張が走る。
私の中には期待が膨らんでいた。
お茶会は、叶多くんに近づくチャンス。
どうしても招待状が欲しかった。