黒愛−2nd love−
期待に反して告げられたのは、
ムカつくお嬢様の名前。
「菊川ルリコさん。
学園内の美化活動に尽力して下さいましたので、選ばせて頂きました」
ルリコは嬉しそうに跳びはねる。
他の女子生徒は残念そうな顔をしながらも、ルリコに拍手を送っていた。
私は……
当然面白くない。
久美はいいとしても、私を選ばず、ルリコなんかに招待状を渡したことに腹が立つ。
仕事を終えた沙也子は
「ごきげんよう」と教室を出て行こうとしていた。
その背中を引き止める。
「沙也子さん」
そう呼び掛けると、彼女は足を止め振り向いた。
「あなたは……編入生の黒田愛美さんだったわね。
何かご用かしら?」
彼女に近づいて行く。
二歩手前で立ち止まった。
私を選ばなかった怒りを隠して、
可愛らしい声色で言った。
「はい、用があります。
私もお茶会に行きたいので、招待状ください」