黒愛−2nd love−
凍えるほどに寒いけど、
頑張って次の町まで行くべきか……
そう思った時、
「アレは?」
叶多くんが、小高い丘の上を指差した。
暗いし、よく見えないが、
一軒の建物があった。
ぼんやり浮かび上がる外観は、
この辺りの田舎臭い民家と違っていた。
民家より大きく、洋風のシルエットで、
ペンションに見えなくもない。
「行ってみるか」
と彼が言った。
細道をクネクネ曲がり、丘の上についた。
バイクのヘッドライトに照らされて、浮かび上がったのは、
教会だった。
教会なら、頼めば泊まらせてくれそうな気がした。
バイクをとめて、荷物を下ろし、
アーチ型の木のドアに近づいて行った。
そこで、初めて分かった。
この教会が今は使われていない、
廃屋だということが。