黒愛−2nd love−
 


ドアには、半分ちぎれた張り紙がぶら下がっていた。



『まことに勝手ながら、事情により当教会は閉鎖させていただき―― 』




張り紙の日付は、3年も前になっていた。



よく見ると、外壁の白い塗装はハゲて、

ひび割れている箇所もあった。



3年前まで使われていたはずなのに、随分と傷んでいる。



人の手が入らなくなった建物は、

急速に寿命が縮むということなのか。




ドアノブを掴んで、引いてみた。



ガチャガチャ…ギイイイ……



鍵が壊れていた。


軋んだ音を立て、ドアが開く。



中のよどんだ空気が、私達に向けて流れてきた。




叶多くんと顔を見合わせ、
頷いた。



今日はここで、一夜を明かすことに決めた。



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