黒愛−2nd love−
 


入ってすぐ入口横に、非常用の懐中電灯を見つけた。



電池は切れていなくて、

周囲を明るく照らしてくれた。



あちこちに光を当てて、中の様子を確かめる。



縦に細長い空間に、

木製ベンチが10列ずつ、左右対照に並んでいた。



その向こうには、神父が教えを説くための説教台があり、


さらに奥には、ステンドグラスがあった。



他には何もない。


教会には必需品のオルガンや、
キリスト像もない。



3年前に何があったのか知らないが、

夜逃げではないのは確か。



綺麗サッパリ片付けてから、
教会を閉鎖したようだ。




叶多くんが私の手から懐中電灯を取り上げ、

今度は上を照らした。



天井は高く、屋根の形そのままに三角形をしていた。



天窓が2ヶ所あり、日中なら気持ち良い日差しが入ってきそう。



天窓の他にも、目を引くものがあった。



それは、白い十字架。



叶多くんの体より大きな十字架が、

奥の天井から吊るされ、高い位置にぶら下がっていた。




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