黒愛−2nd love−
 


持ってきた軽食でお腹を満たした後は、

二人で静かな夜を過ごした。



説教台の奥のステンドグラス側は、

木の床が一段高くなっていた。



そこをベッド代わりに、二人で寝そべった。



身を寄せ合い、

持ってきた小さな毛布に、二人で包まった。



懐中電灯の明かりを消すと、
辺りは当然暗くなる。



でも、真っ暗ではない。



天窓から月明かりが、ほのかに差し込んでいた。



薄雲に半分隠れた、青白い月。



チラチラと舞い降り、とけてすぐに消えてしまう雪を、

月が淡く光らせていた。




「静かだな……」



彼が呟いた。



本当に静かな夜だった。



何も聞こえない。


車の音も、人の足音も、

獣の鳴き声も。



聞こえるのは、

私達の息遣いだけ。




< 295 / 311 >

この作品をシェア

pagetop