黒愛−2nd love−
持ってきた軽食でお腹を満たした後は、
二人で静かな夜を過ごした。
説教台の奥のステンドグラス側は、
木の床が一段高くなっていた。
そこをベッド代わりに、二人で寝そべった。
身を寄せ合い、
持ってきた小さな毛布に、二人で包まった。
懐中電灯の明かりを消すと、
辺りは当然暗くなる。
でも、真っ暗ではない。
天窓から月明かりが、ほのかに差し込んでいた。
薄雲に半分隠れた、青白い月。
チラチラと舞い降り、とけてすぐに消えてしまう雪を、
月が淡く光らせていた。
「静かだな……」
彼が呟いた。
本当に静かな夜だった。
何も聞こえない。
車の音も、人の足音も、
獣の鳴き声も。
聞こえるのは、
私達の息遣いだけ。