黒愛−2nd love−
 


もしかすると、この世界には、

私達ふたりしか、いないのではないか……


そんなことを考えてしまうくらいに、静かだった。



本当にこの世界にふたり切りなら、何も心配いらないのだが、

そんなことはない。



春成も三ノ宮も、

これからきっと、血眼になって叶多くんを捜すだろう。




ポケットから、一枚の紙を取り出した。



何も書かれていない、真っ白な紙だ。



その紙とペンを渡して、
彼に言う。




「これに“遺書”を書いて?」



「は?」




意味が分からないといった顔をした叶多くんだが、

私の説明を聞いて納得し、こんな文章を書いた。




『三ノ宮学園を破壊したのは俺。


全てが嫌になり、全てを終わらせたいと思った。


罪は死んで償う。


俺に手を貸した女を道連れに、
この世界から消える。



   12/25 春成叶多 』




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