黒愛−2nd love−
月明かりで、彼の顔も青白く見えた。
まるで、死人みたいな色。
せっかく自由になれたのに、
暗い未来しか語らない彼を、悲しく思った。
顔を近づけ、キスをする。
唇を通して、私の黒く熱い生気を、
彼の中に送り込んだ。
「大丈夫だよ。
私が叶多くんを守るって、前にも言ったでしょ?
春成にも三ノ宮にも、誰にも渡さない。
私達は絶対に逃げ切れる。
これからは楽しいことばかりだよ?
いつまでも二人で、愛し合って生きて行くの」
ニッコリ笑いかけると、
彼は私の黒髪を撫でて、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「そうだな。愛美がいれば、必ず逃げ切れる。
そう信じてみる」
前向きな言葉が聞けた時、
彼の目が一瞬だけ、赤く光った。
飢えた獣のような瞳に興奮しかけたが、
すぐに何かがおかしいと気づいた。