黒愛−2nd love−
 


その赤い光は、ステンドグラスの光だった。



近くを車が通過して、

そのヘッドライトの光が、ステンドグラスに当たったのだ。



車の光……

車!?




叶多くんが毛布を跳ねのけ、
飛び起きた。



私を立ち上がらせて、背中に隠す。



静かな教会に、車のエンジン音がハッキリと聞こえていた。



それは確実に、こっちに向かっている。



教会前に停車した気配がして、

続いてバタンとドアの閉まる音が聞こえた。



その後は車のエンジン音が遠ざかり、

静けさが戻った。




静かになっても、叶多くんは緊張を解かない。



私を背中に隠したまま、

鋭く教会の扉を睨みつけている。




ギギギィィ……


軋んだ音を響かせ、扉が開けられた。



入ってきたのは、真っ赤なドレスを着た女性が一人……


そう、三ノ宮沙也子だった。




< 299 / 311 >

この作品をシェア

pagetop