黒愛−2nd love−
 


コツコツとヒールを鳴らし、彼女が近づいてくる。



教会の真ん中で足を止め、

彼女は薄く笑った。




「随分と驚いているようね。


こんなに早く見つかると思わなかった……

そんな気持ちなのかしら?


馬鹿ね。叶多が三ノ宮学園を破壊できたように、

私だって、やろうと思えば何でもできるの。


見つけだすことも、殺すことも簡単。ウフフフッ」




私も叶多くんも、本気で焦っていた。



見つけられたことより、

沙也子の右手に、拳銃が握られていることに。



銃口がこっちに向いていた。



沙也子はセーフティロックをカチャリと外し、

引き金に指をかけて、笑っていた。




学園での爆発のせいで、彼女の頬はすすけて、

髪が一部、焦げて縮れていた。



高そうな毛皮のショールを羽織っているけど、


その下の深紅のドレスも、すすの黒が混ざり、

血みたいな暗赤色をしていた。



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