黒愛−2nd love−
「アハハハ」と声を上げて笑っていても、
笑っているように見えない。
のっぺりと張り付いた笑みは不気味で、
正気ではないと分かった。
狂った人間に、駆け引きなんて
通じない。
黒い頭脳をフル回転させても、
打開策が見つからなかった。
油汗をにじませる彼に、
沙也子が言う。
「そんな顔しなくても平気よ。
私は叶多を、助けに来ただけだから。
悪魔のような女に惑わされるなんて……可哀相な人。
大丈夫よ。呪いは私が解いてあげる。
さあ、帰りましょう?
今ならまだ間に合うわ。
叶多が関与していたことは伏せておいたし、
逃げていることも、ごまかしてあげたのよ?
今ならまだ、帰れる。
全てをその女の罪にして、私達は学園に戻りましょう?」