黒愛−2nd love−
 


「アハハハ」と声を上げて笑っていても、

笑っているように見えない。



のっぺりと張り付いた笑みは不気味で、

正気ではないと分かった。




狂った人間に、駆け引きなんて
通じない。



黒い頭脳をフル回転させても、

打開策が見つからなかった。



油汗をにじませる彼に、
沙也子が言う。




「そんな顔しなくても平気よ。

私は叶多を、助けに来ただけだから。


悪魔のような女に惑わされるなんて……可哀相な人。

大丈夫よ。呪いは私が解いてあげる。


さあ、帰りましょう?

今ならまだ間に合うわ。


叶多が関与していたことは伏せておいたし、

逃げていることも、ごまかしてあげたのよ?


今ならまだ、帰れる。


全てをその女の罪にして、私達は学園に戻りましょう?」




< 301 / 311 >

この作品をシェア

pagetop