黒愛−2nd love−
 


沙也子が高笑いする。



「アハハハッ!私が撃てないとでも思ったの?

甘いわよ、叶多。


悪魔の女なんかに、渡さない。

あなたを手に入れるためなら、あなたを傷つけることもできるの。


素直に言うこときけないのなら、

体の自由を奪って、連れ帰ればいいのよ。


殺さないから、安心して?

殺してしまったら、愛し合えないもの。


殺すのは……悪魔だけよ!」




沙也子の銃口が、私に向いた。



説教台は、すぐそこ。



飛び込めばよかったのだけど、


目は、床に広がる赤い液体にくぎ付けで、

動くことができなかった。




「愛美っ!!」



叶多くんが叫んで、立ち上がった。



血に濡れた右足で、

それでも走って、彼は私に腕を伸ばした。




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