黒愛−2nd love−
 


やっと、自由になれたのに……



これから二人の、

幸せな未来が、待っているはずだったのに……




愛する人を失った悲しみで、

胸が引き裂かれそうに痛んだ。



涙がとめどなくあふれ、

血だまりの上に、雨のような波紋を作っていた。




泣き叫ぶ私の横には、

いつの間にか、沙也子が立っていた。



悲しみに暮れる私には、

もう沙也子なんか、どうでも良かった。



恐怖も警戒も、感じることができなかった。




「カ…ナタ……」




沙也子の呟きを、頭上に聞いた。



その後は……



ズドンと、3回目の銃声を聞いた。




私の隣で沙也子が崩れ落ち、

血だまりの中に、顔を埋めていた。




真っ赤な池は、どんどん大きく広がって行く。



沙也子のこめかみからも、血が吹き出していた。






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