黒愛−2nd love−
その遺書を開いて、
まだ乾ききっていない、血だまりの上に落とした。
白い紙が少しずつ、赤に侵食されていく。
全てが赤に変わる前に、
私は出口に向けて歩きだした。
歩きながら、
「そっか」
と呟く。
分かったことが、一つあった。
それは私の運命の人が、彼ではなかったということ。
教会のドアを開けて、外に出る。
東の空の端に、うっすら朝日が昇る気配がした。
小高い丘の上から町を見下ろしていると、
何だか楽しくなって、笑いが込み上げてきた。
「フフッ…ウフフフッ」
この広い世界のどこかで、
運命のカレが、きっと私を待っている。
今回もハズレだったけど、
次の出会いこそ、ホンモノに違いない。
そんな気持ちがした。
教会を後に、私は前を向いて走り出した。
次の出会いを想像すると、
期待に胸が膨らんで、イイ気分だった。
運命のカレ。
この世界のどこかで、私を待っているカレ。
「待っていて。
すぐにアナタを、見つけて
アゲルカラ……」
【完】