黒愛−2nd love−
ルリコが「ふん」と鼻を鳴らした。
「パーティー用の服を用意できないでしょう?」と、
庶民を馬鹿にする切り札を、またしても持ち出してくる。
久美が私のセーラー服の袖を掴んだ。
「どうしよう……」
不安そうに呟いている。
形勢逆転とばかりに、お嬢様たちは庶民を見下す。
「オホホ」とキモイ笑いが飛び交い、とても楽しそう。
私は小さな溜息をつく。
パーティー用の衣装なんて、どうにでもなるのに。
勉強ができても、知恵の回らない彼女達に呆れてしまった。
縦巻きロールの髪を、指でもてあそんでいるルリコに言った。
「私と久美の二人分の衣装も用意してね。
バックと靴とアクセサリーも」
「はあ!? 何で私が……」
ルリコは驚き、目を見開いている。
とぼけたふりして、彼女に聞いた。
「あれ?お金持ちを自慢しているから、衣装が余っているのかと思ったけど、違った?
本当は自分の服しか用意できない程度の財力で、お金がなくて私達に貸せないとか?」
「そ、そんなことないわよ!
2人でも10人でも、クラス全員に貸してあげれるくらいの衣装とお金を持っているわよ!」