黒愛−2nd love−
◇◇◇
6月上旬――
今日はお茶会当日。
所用を済ませて寮の自室に戻ると、久美が慌てていた。
「愛美、どこ行ってたの?
あと30分しかないよ!早く準備しないと!」
久美は淡いピンクのパーティードレスに身を包み、
メイクと髪のセットも終えて、いつもより10倍可愛くなっていた。
「ごめんごめん。ちょっと用事があったから」
そう言った私は、手に持っていたある物を机に置いた。
それを見て、久美が首を傾げる。
「何それ。猫のエサ?」
聞かれた通り、机に置いたものはキャットフード。
広い学園の敷地には、野良猫がたくさん住み着いている。
人慣れしているところを見ると、前々から誰かがエサをあげて可愛がっているみたい。