黒愛−2nd love−
 


純白のセーラー服を着た私は、長い黒髪をなびかせ歩き出した。



正面玄関も馬鹿みたいに立派すぎる。

大理石の柱が立ち並び、まるで神殿みたい。



柱の横に黒いスーツを着た中年紳士が一人立っていて、私を迎えてくれた。



この学園に私を入れてくれた理事長とは、この人かと思ったが、

違った。



この人は、ただの案内人。


「黒田愛美様ですね。
私は山田と申します。理事長室までご案内します」


事務的な笑顔でそう言われた。



上靴に履き替える必要はないみたい。

外靴のまま廊下を進み、エレベーターに乗せられた。



金持ちと馬鹿は高い所を好むから、理事長室も最上階5階にあるらしい。



エレベーターの扉がしまると、案内人のおじさんはカードキーをスライドさせた。


このエレベーターの押しボタンは、4階までしかない。


5階へ行くには、カードキーが必要らしい。



最上階に上がれるのは、カードキーを与えられた特別な人だけという訳か……


今日挨拶した後は、私も5階に上がることはないのだろう。



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