黒愛−2nd love−
会場をぐるりと遠回りして、自分の席に戻ってきた。
一人ぼっちで置いてきた久美だけど、
次々と運ばれてくる高級洋菓子に夢中で、全然淋しくなかったみたい。
すっかり冷めてしまった紅茶に口を付け、私は庭を見る。
パーティー会場の南側は、美しいイングリッシュガーデンが広がっていた。
ガラスの壁を大きく解放し、涼しいそよ風が吹き込んでいる。
噴水が初夏の日差しにキラキラ輝いていた。
芝生は透明感あるグリーン色で、色とりどりの花が咲き誇っている。
「ここの庭、とっても綺麗だねー」
久美がケーキを頬張りながら、私に言う。
「うん、綺麗」
でも……
私が庭を見ている理由は、ソレじゃない。
もう少し、あと少し……