黒愛−2nd love−
時刻は午後3時ちょうどになる。
校舎の方から3時を知らせる鐘の音が、カラーンカラーンと鳴り響いた。
すると、庭の花々を掻き分け、猫達がぞろぞろと姿を現す。
その数およそ20匹。
学園に住み着いている野良猫だ。
談笑している会場の客達は、まだ猫の存在に気付いていない。
こっちに近づく猫軍団の先頭に立つのは、真っ黒な体のオス猫。
そのボス猫に私は、クロと名前を付けていた。
ここ2週間、毎日欠かさず餌をやっている。
3時の鐘が鳴るとこの庭で餌がもらえる……
そう学習してくれた猫たちは、今日も20匹勢揃いで集まってくれた。
ボス猫クロが風の匂いを嗅ぐように、鼻をヒクヒクさせている。
こっちに近づくにつれ、他の猫達も同じように鼻をひくつかせる。
クロが「ナオゥ」と一言鳴いて、急に走り出した。
会場から「キャア」と悲鳴が上がった。
悲鳴を上げたのは、デブでブサイクなくせに、皆にチヤホヤされていたムカつくご令嬢。
猫の一匹が、彼女の背中に飛びついていた。