黒愛−2nd love−
 


外に出ると真っ青な空が広がり、開放的な気分になる。


お茶会の間ずっと不機嫌だった彼も、スッキリした顔を見せていた。



青空に向け大きく伸び上がってから、彼が言った。



「部屋戻っても連れ戻されそうだから森で昼寝でもするけど、お前どうする?

俺に付いてきたら、服汚れるぞ」



「服? そんなのどうでもいい。私の服じゃないし。

このドレス、お金持ちのクラスメイトに借りたの。

私、庶民だからこんなの用意できない」



「庶民……
へぇ、すげぇ羨ましい」



春成グループの御曹司の彼は、この学園の中でもトップクラスの金持ち。


そんな彼が庶民を羨ましいと言う。


どうやら“春成”という姓を、
うっとうしく感じているみたい。



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