黒愛−2nd love−
エレベーターは音もなく上昇し、無音で開いた。
5階フロアは他の階と違い、絨毯が敷かれ高級ホテルみたい。
壁には金の額縁のヘンテコな絵画が飾られ、
花瓶には、ピンクがドギツイ胡蝶蘭が生けられていた。
趣味が悪いと心で呟きながら、大人しく案内人の後ろをついていく。
廊下の奥に、重厚な両開きのドアが現れた。
案内人のおじさんがノックする。
「黒田愛美様をお連れしました」
「入りなさい」
しわがれた声の返事を待ち、ドアが開けられた。
中に入ると、まずは悪趣味な内装に目が奪われる。
変な彫刻に外国の鎧。
雄鹿の頭だけの剥製が、壁に飾られている。
中華風のデカイ壺に、アンモナイトの化石。
金屏風に日本刀に……
飾られている物に、見事に統一感がなかった。
絨毯の柄もソファーの柄も、なぜコレを選んだのかと聞きたくなるような気持ち悪い柄。