黒愛−2nd love−
質問には答えず、無言でじっとり見つめ返す。
数秒して、彼が溜息をついた。
「愛美。名前で呼んでやるから答えろ。何が目的だ?」
「フフッ いいよ教えてあげる。
叶多くんに近付いたのは“幸せ”のため」
「あ゙?」
「あなたを幸せにシタイ。
それが目的」
心から、彼には幸せになって欲しいと願っている。
そのためには、私が必要なの。
私のモノになることが、叶多くんの幸せに違いないカラ。
彼が笑う。
可笑しくて笑ったのではなく、
「コイツ何言ってんだ」
と言いたげに鼻で笑った。
正直に答えたのに、ごまかしたと思われてしまった。
彼は身を起こす。
「まぁ、いいや」そう言って、
紺色ジャケットの内ポケットから、何かを取り出した。