黒愛−2nd love−
 


その日の夜。

お風呂上がりの濡れた髪にドライヤーを当てながら、ノートパソコンをカタカタ鳴らしていた。



同室の久美が私の手からドライヤーを取り上げ、

「やってあげる」と髪を乾かしてくれる。



「調べもの?何か急ぎの提出物あった?」



久美は私が熱心にパソコンを見ていることを、課題か何かだと勘違いしていた。



「宿題じゃないよ。でも急いでる。

ターゲットについて情報収集してからじゃないと、計画が立てられないから」



「ん? 良く分かんないけど、頑張ってね。
私、愛美のこと応援してるから!」



「ありがと」



久美に髪を乾かしてもらいながら、中野桜子について調べていた。



祖父は現在隠居しているが、元法務大臣もやった大物らしい。


父親は現役の検事総長。


親戚や兄も検事や裁判官など、お固い職業についている。



悪を裁く、国家権力のお偉いさんの家系というわけだ。



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