黒愛−2nd love−
趣味が悪いにもほどがある。
呆れてしまい、思わず口から溜息がこぼれた。
前方から「ワハハ」と笑い声がして、理事長に目を向けた。
歳は80を越えていると思う。
白く長い顎ひげと、ハゲた頭が特徴的なジジイだった。
理事長は椅子から立ち上がり、杖をついて私の前まできた。
シワくちゃな笑顔に、金歯が光っている。
「そうじゃろう、そうじゃろう。溜息が出るほど凄いコレクションじゃろう。
ここにある品は、鑑定士歴60年の桂先生お墨付きの……――」
私の呆れの溜息は、感嘆の溜息だと勘違いされてしまったらしい。
そのせいで、挨拶する前に自慢話を聞かされる羽目になる。
イライラしたけど、我慢した。
このジジイに気に入られておかないと、学園生活がやりにくくなってしまうから。