黒愛−2nd love−
今日も彼女は怒っていた。
細い目を糸みたいに更に細めて、
立ち話中のお坊ちゃま達に注意していた。
「ウワサを助長させてしまうので、その件についてはお話なさらないように!
分かりましたか?」
彼らは頷かない。
小太りで坊ちゃんカットの、プライドだけは高そうな男子生徒が、
ムッとした顔して桜子に言い返していた。
「生活指導部長の中野桜子さん。
君がもっとしっかりしていれば、
僕達は不安に思わないし、ウワサ話もしない。
こうやってウワサが広まるのは、君の落ち度だ。
こんな所で注意している暇があるなら、さっさとウワサの現場を調べに行けばいいんじゃないか?」
桜子が薄い唇を噛みしめて、
ワナワナと震えていた。
怒りはあっても、もっともなことを言われては、言い返す言葉が見つからないみたい。