黒愛−2nd love−
 


ひとしきり自慢して満足した理事長が、やっと本題に入る。



「ようこそ、我が三ノ宮学園へ。

親元から離れて不安じゃろうが、心配ない。

恩人の頼みだから、君のことはきっちり面倒みるからの。

困ったことがあれば、そこの山田を通して――」




理事長の“恩人の頼み”で、私はこの学園に編入できた。


その恩人とは、少し前に退院した総合病院の院長だ。


何でも昔、難しい心臓手術をしてもらったのだとか。



私がまだ入院していた時、
総合病院の院長がわざわざ病室に来て、こんなことを言った。



『治療費はいらない、いや、むしろこちらから、まとまった額を支払おう。

そうだ!知り合いに名門高校の理事長がいるから、そこに編入できるよう頼んであげよう。

君も心中騒ぎのあとでは、元の高校に戻りにくいだろう?


それと引き換えに……
娘と緒方くんから手を引いてくれ!

頼む、この通りだ!』



< 7 / 311 >

この作品をシェア

pagetop