黒愛−2nd love−
 


全く覚えていないけど、私は元の高校の先輩と心中騒ぎを起こしたらしい。


相手は死亡し、私だけ大怪我して生き残った。



約一年におよぶ退屈な入院生活で見つけたのは、新しい恋。


そこそこカッコイイ研修医の緒方先生に、狙いを定めて頑張った。



色目を使う看護婦どもの、恥ずかしい写真をばらまいたり、

彼の婚約者である院長の娘を脅して、精神的に追い詰めたり……



そんな時、親である院長がしゃしゃり出てきた。



名門高校への編入や、多額の手切れ金をチラつかせ、緒方先生を諦めろと言ってきた。



初めはムカついたけど、最終的には手を引くことにした。


それは、親に説得されたからでも、お金が欲しいからでもない。


初めはカッコイイと思っていた緒方先生に、何か違うと思い始めていたせいだ。



私を見る度にビクビクおどおどして、目に力がなくなっていた。


弱い男は嫌い。


この人は“運命のカレ”じゃないのかもと、気付いたのだ。




退院して元の高校に戻っても、カッコイイ男なんていないし、

転校できるなら、それもいいと思った。



もしかすると――

新しい高校に、運命の出会いが待っているかも知れないカラ。



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