黒愛−2nd love−
沙也子の意見に拍手がおこる。
叶多くんは面倒臭そうに溜息をついただけで、黙っていた。
自分の意見に反対されるのは好きじゃないようだが、
正論をぶつけてくる沙也子と対決するのは、もっと好きじゃないみたい。
私の中にフツフツと怒りが込み上げる。
愛しの叶多くんを不愉快にさせるなんて、随分ひどいことをしてくれる……
三歩、前に出た。
彼の背後に立ち、沙也子と向かい合う。
白い正論で攻めてくるお嬢様には、黒い正論を。
彼女に正しく抗議してみた。
「沙也子さんが“私情をはさむな”と言っても、いいのデスカ?」
「どういう意味かしら?」
「叶多くんを無理やり会長の椅子に座らせて、アナタが副会長をしているのは、
イヤラシイ下心があるからじゃないですか?」
「なっ!? 何を言って……」
沙也子の顔が耳まで赤くなる。
これは、ますます怪しい。
やっぱり恋愛感情があるのだろうかと、疑惑を強めてしまう。