黒愛−2nd love−
目の前のジジイに
「よろしくお願いします」と頭を下げて、理事長室を出た。
案内人の山田さんに連れられ、再びエレベーターホールに向かう。
来た時は静かだった廊下に、今は話し声がもれていた。
怒っているような甲高い、女子の声がする。
その声がもれるドアには“生徒会室”と書かれた白いプレートが付いていた。
職員室は2階なのに、生徒会室が理事長室と同じ5階にある。
どうやら、生徒会メンバーの地位は教師達より上らしい。
きっと金持ちの親がいて、多額の寄付金を入れているのだろう。
女子の怒り声は、まだ続いていた。
それはいつものことなのか、案内人の山田さんは気にする素振りなくドア前を通過した。
私もあくびしながら、その後に続く。
生徒会に興味はない。
特権階級に憧れもない。
生徒会なんてどうせ、ダサ男とダサ子の集まりだから。