黒愛−2nd love−
叶多くんを楽しませるために、
学園内がザワザワするような火種を早く見つけないと……
私を褒めまくる、久美の話に適当な相槌を打ちながら、
廊下のあちこちに視線を向けていた。
生徒達が桜子の話題に飽きてしまうと、学園内は平和そのもの。
不穏な空気は見当たらない。
何かしでかしそうな奴がいないかと、
廊下を歩く一人一人を注意深く観察していた。
自慢話をするお坊ちゃまに、
「オホホ」とキモイ笑い方をするお嬢様。
教室に戻っていく女子に、
トイレから出て来る男子生徒……
ピタリと足を止めた。
久美が「どした?」と首を傾げて私に聞く。
「見つけた……」
「何を?」
「面白そうな、火種ヲ」